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最高裁判所第二小法廷 昭和30年(オ)241号 判決 1957年2月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人竹野竹三郎の上告理由第一点について。

法人の代表者は法人の機関であり、したがつて法人の代表者が法人の業務上なす物の所持は法人そのものの占有、すなわち法人の直接占有と解すべく、またこの場合代表者は所論民法一九七条後段の代理占有者でもないと解するを相当とする。されば以上と同趣旨の下に、法人の代表者は法人とは別個に占有訴権ありとの上告人の主張を排斥した原判決は正当であるから、論旨は理由がない。

同第二点について。

所論は原審のした証拠の取捨判断と事実認定を非難するに帰するものであつて、適法な上告理由に当らない。また原判決には所論経験則違背のかども認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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